これは初期のローライコード。
1938年の発売だから戦前のカメラである。
旧ロゴタイプの銘板で浮き彫りではなく、レンズ部
周辺がダルマ型ではないモデル。
レンズは3群3枚のTriotar 75mm F3.5。
コードのTriotarにはF値違いで3.5と4.5があるが、
これはF3.5。
F値の暗いF4.5の評判が良いようだが、F3.5の
Triotarも実際に撮ってみると、なんというか、
空間の奥行き感の出かたが気持ち良い。
絞り開放付近では画面周縁部の描写はあまり
良くないのだが、それが奥行き感の演出にとって
プラスに働いているのかもしれない。
コーティングは無いので逆光には弱いが、フレックス・スタンダードのTessar F3.8に比べれば全然大丈夫。
(あれは画面内に少しでも光源があるとダメなので)
巻き上げはノブ式だが焦点調節ノブと巻き上げノブが両方ともボディを構えて右側に配置されているので、ボディの保持は左手に任せたままにできる。
これがローライフレックスだと、右で巻き上げ、左で焦点調節なので、ボディの保持はネックストラップのお世話にならないと非常に使い勝手が悪いのである。



初期の2眼レフはその軽さが武器。現代のローライ
フレックスだと重すぎて外に連れ出すのが億劫。
三脚を使ってポートレイトを撮影するカメラなのかも
しれない。それ対しローライコードはスナップカメラ
として充分使える。速射性は劣るが。
永井荷風が戦前のローライを使っていたことは
よく知られている。
『断腸亭日乗』をみると昭和拾二年二月一日に
三百拾円でカメラを買ったとある。これがフレックス
なのかコードなのかは判らない。荷風は自分で
密着プリントをしたりして楽しんでいたようだ。
荷風といえば若い頃アメリカフランスに外遊し、
帰国後は色の道に励み、戦後は札束のぎっしり
詰まったボストンバッグかついで浅草のストリップ
劇場の楽屋に入り浸っていたそうだが、
ローライでヌード写真など撮っていたのだろうか。
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Franke & Heidecke
Rolleicord U
Carl Zeiss Triotar 75mm F3.5
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